犬の栄養バランスとは?犬の年齢に応じて必要な栄養素について紹介!
犬に必要な栄養素
栄養学上、犬に必要とされる栄養素として、下記のものが挙げられます。
- 水
- タンパク質
- 炭水化物
- 脂質
- ビタミン
- ミネラル
水の働き
水は犬の体の6割以上を占める構成要素であり、生命を維持するうえで欠かせません。
水には消化を助け、体温を調節する働きがあります。
水が不足すると、脱水症状になってしまったり、体温調節ができなくなり命の危険となることもあります。
タンパク質の働き
魚・肉類や大豆などの食材に含まれるタンパク質は、筋肉や内臓器官を作るうえで重要な物質とされ、健康な体作りに不可欠です。
皮膚や毛並みなどの状態にも関わっています。
動物性タンパク質と植物性タンパク質
タンパク質には動物性と植物性の2種類があり、動物性タンパク質には自力で生成できない必須アミノ酸が含まれています。
必須アミノ酸は筋肉を作る働きがあるため、成長期の犬には動物性のタンパク質が含まれるものを摂取させるべきでしょう。
動物性タンパク質は肉や魚に、植物性タンパク質は大豆や小麦などに含まれています。
摂取しすぎは負担になる
良質なタンパク質を摂取することはとても重要となります。
しかし、タンパク質の摂りすぎは、肥満や腎臓や肝臓への負担にもなってしまうので注意する必要があります。
炭水化物の働き
炭水化物には、糖質と繊維質の2種類があります。
糖質は犬が活動するために必要なエネルギー源となる一方、繊維質は腸内フローラを整えたり、蠕動(ぜんどう)運動を活発にします。
糖質と繊維質が含まれているものは下記のようになっています。
糖質 | 米・小麦・イモ類など |
繊維質 | 繊維質は豆類・野菜・海藻類など |
炭水化物を取りすぎると、お腹を壊してしまったり肥満の原因となります。
脂質の働き
脂質には、脂溶性ビタミンの吸収を促進したり、ホルモンや細胞膜を生成したりする働きがあります。
その他にも、炭水化物と同様に体を動かすエネルギー源にもなっていて、子犬の時期には特に必要な栄養素となります。
脂質も摂りすぎると肥満につながるので注意が必要です。
脂質は、肉類や植物の種に多く含まれています。
ビタミンの働き
ビタミンは犬の免疫機能を上げ、代謝を調整するうえで欠かせない存在です。
ビタミン不足になると、毛並みが悪くなったり皮膚が荒れたりしてしまいます。
また、疲れも取れにくくなってしまいます。
ビタミンは、緑黄色野菜や穀類のほか、レバーや生肉からも補給できます。
ミネラルの働き
ミネラルも正常な身体機能を維持するうえで不可欠な栄養素です。
ミネラルには鉄やカルシウムなど様々な種類があります。
ミネラルは体内で生成することができず、下記のような食材によって補給できます。
- 種子
- 肉類
- レバー
- 穀類 など
このような栄養素を含む食材を十分摂れるように、愛犬には栄養バランスを考えた食事を与えなければなりません。
必要な栄養素の割合
犬は肉食のイメージがありますが、分類上は雑食動物とされており、様々な栄養素をバランス良く摂取しなければなりません。
犬に適した栄養バランス
平均的な犬の摂取する栄養素のバランスは、下記のような割合が最も良いとされています。
- タンパク質が25パーセント
- 脂肪が15パーセント
- 炭水化物が60パーセント
ただし、手作りご飯で栄養計算してこのようなバランスを図ることは難しいかもしれません。
一方、一般的に総合栄養食と記されたドッグフードは、こうした栄養の割合を守っており、ドッグフードと水を与えていれば、一日に必要な栄養成分を愛犬へ供給することが可能です。
ビタミンやミネラルの配合も考慮されていて、総合栄養食のドッグフード以外にサプリなどを与える必要はありません。
もっとも、パッケージに総合栄養食の記載が無いドッグフードは、栄養バランスを考えていない補助的な製品なので注意しましょう。
犬のサイズや犬種による違い
犬の食事の必要量や栄養バランスは、体重や運動量によって大きく違います。
小型犬
チワワやポメラニアンといった小型犬は食べる量が少なく、栄養バランスがとりにくいため、特に食事の質を厳選必要があります。
中型犬
ヨークシャーテリア・柴犬などの狩猟用中型犬は、活発に動くことから高カロリーの食事を好みますが、運動しないとたちまち肥満になる傾向があり、運動量を考えた食事が欠かせません。
大型犬
シベリアンハスキーやコリーといった大型犬は、大きな体を維持するため食事量が多いものの、やはり運動しないとメタボになりやすいので、カロリー量を考えた食事を与えましょう。
一般的には、10キロの体重なら1回につき200グラム程度で1日2回あげれば十分と言われています。
犬の年齢を考えたご飯
人は年齢によって必要な栄養バランスが変わっていきますが、犬も成長することで必要な栄養やカロリーは変わっていきます。
成長期の子犬は特別な配慮が必要
犬が生まれて最初の数か月間は、最も急速に成長する時期で、骨や筋肉を作るためタンパク質を中心とした栄養補給が欠かせません。
活発に活動するため、エネルギー源となる脂質や炭水化物の供給も大切です。
代謝量も多く、タンパク質や脂質に加え、リンやカルシウムといったミネラル類も補給しなければなりません。
子犬用のドッグフード
子犬用と表示された高カロリーのドッグフードなどの食事を与えると、健やかに成長できるでしょう。
ただし、子犬は消化能力が不十分なので、主に消化の良いウェットフードを与えましょう。
成犬の食事
骨格がしっかりして筋肉が十分ついた成犬になると、もはや過剰な脂質・炭水化物の摂取は控えなければなりません。
適度な運動をさせながら、太りにくい食事量を与えるようにしましょう。
ただし、激しく動きたがる活発な成犬であれば、高カロリーのドッグフードを与えても良いでしょう。
老犬に与える栄養素
活動が鈍くなり、落ち着いた生活をしている老犬に対しては、子犬・成犬用に作られた高カロリーのドッグフードを避けるようにしましょう。
消化不良を起こしたり、内臓器官に過度の負担をかけて、病気の原因になったりします。
老犬の食事は、子犬や成犬との違いを考えて、ビタミンやミネラルの配合に気を遣い、脂質・炭水化物・タンパク質の摂取量を抑えるようにしましょう。
子犬と同様に、カリカリと呼ばれるドライフードより、しっとりとして噛みやすいウェットフードの方が好ましいです。
犬の栄養素を補助するには
先述したように、健康な犬であれば、総合栄養食のドッグフード以外に特別な栄養補助食品を与える必要はありません。
しかし、特定のフードをどうしても食べない場合は、犬の栄養補給のためにサプリや栄養ドリンクを与える必要があるでしょう。
栄養補助食品とは
子犬の成長を促す高カロリーのサプリや、老犬の食欲を促進したり栄養吸収を良くしたりする補助食品が販売されています。
歯が弱い犬のために、チューブで与える補助食品も人気があります。
主食だけでは不足しがちなビタミンやミネラルを補給できる犬用サプリも珍しくありません。
手作りご飯でも栄養の補助ができる
野菜や豆腐などを活用して、栄養バランスを取るための愛犬用手作りご飯を補助食として作ることも効果があるでしょう。
特に、生活習慣病などの既往歴がある犬は、飼い主が愛犬用のレシピを考えて作っている事例が少なくありません。
もっとも、犬に必要な栄養素を摂らせるためだからといって、高栄養食などを強要することは望ましくありません。
手作りご飯のコツ・注意点
栄養バランスが取れた愛犬用手作りご飯を作ることは、初心者には簡単とは言えません。
犬の好物を作れば喜んで食べてくれるので、つい栄養のバランスが偏りやすいのです。
年齢に合わせた手作りご飯を作ろう
犬の年齢や犬種・サイズに合わせて最適な手作りご飯を作ることが大切です。
幼少期の犬に与える手作りご飯は、炭水化物・脂質・タンパク質を中心とした高カロリーの食材がメインとなります。
例として下記のものが挙げられます。
- うどん
- パン
- イモ など
こうした食品のうち、ジャガイモの芽やサツマイモの皮などは、愛犬の身体に悪影響を及ぼすことがあるため取り除かなければなりません。
成長期にはカルシウムの摂取も重要なので、子犬には牛乳やチーズを使った手作りご飯を与えるのも良いでしょう。
成犬期以降に適した手作りご飯
成犬期は、糖尿病や肥満にならないよう気を付けて、運動量に合わせた手作りご飯を作らなければなりません。
特に、脂質や炭水化物の摂りすぎを警戒し、穀類やイモ類を与えすぎないように心がけましょう。
老犬になったら、カロリー控えめでカルシウムが多い食品を選ぶことが必要です。
歯が弱くなった老犬に与える食事は、うどんやおかゆなどやわらかく煮込んで消化しやすいものにしましょう。
手作りドッグフードの注意点
手作りドッグフードの注意点として、下記のようなことが挙げられます。
生肉は与えない
ジビエを中心とした生肉や骨付き鶏肉を与えるのはやめましょう。
こうした食材は病原体による感染や誤飲・食道閉塞などの原因となるおそれがあり、手作りご飯にはおすすめできません。
過剰摂取に注意
栄養素の過剰摂取にも注意する必要があります。
ビタミンAを過剰に摂取すると、中毒症状を引き起こすことがあります。
また、タンパク質を摂りすぎると、犬の腎臓に負担をかけ、腎不全などの原因になるので気を付けましょう。
特にアレルギーを持つ犬は、タンパク質の摂りすぎで皮膚炎や下痢といった症状に見舞われることがあります。
愛犬の年齢に応じた栄養素を盛り込んで、食べやすい形にできることが手作りご飯のメリットと言えます。
▼犬が食べていいもの・食べてはいけないものについての記事はこちら!