犬のマズルはしつけに効果的?マズルコントロールのやり方・注意点!
犬のマズルとは
マズルは、『口吻(こうふん)』とも呼ばれ、犬の鼻面の部分(鼻先から顔にかけての部分)を指します。
パグやチワワのように犬種によってマズルが短い犬もいますが、基本的には長いつくりの犬が多くなっています。
この章では、犬が持つマズルの特徴や役割についてご紹介します。
マズルは顔の印象を決める?
マズルは、犬の顔の大部分を占めるパーツだといえます。
そのため、「マズルの長さや形がその犬の顔の印象を決める」といっても過言ではありません。
また、マズルは嗅覚に優れた鼻や口など、犬にとって重要な機能を持つ器官でもあります。
犬のマズルが長い理由とは?
犬のマズルは何故長いのでしょうか?
雑食性のため
犬は雑食性の動物であり、猫は肉食動物です。
猫の口が小さいのは、歯の本数が30本と少なく、奥歯などの『草をすりつぶす役割』を持つ歯がないためだと言われています。
その一方で、犬は人と同じく歯が42本で、臼の形の歯が2本あります。
その結果、口が大きく形作られ、マズル全体が長くなったと考えられます。
嗅覚のため
犬のマズルが長いもう一つの理由として、鼻腔を大きくし、嗅細胞(きゅうさいぼう)をたくさん持つためだと言われています。
この嗅細胞をたくさん持つことで、犬は人間の数千倍から一億倍ともいわれるほどの鋭い嗅覚が備わっているのです。
このように、マズルの長さは犬の嗅覚にとって決定的に重要な器官だといえます。
短頭種は何故マズルが短い?
短頭種とは、頭蓋骨の長さよりもマズルの長さが短い犬種で、パグ、フレンチブルドッグ、シーズーなどがいます。
これらの犬種は、愛玩などの品種改良を重ねた結果、マズルが短くなったと考えられています。
歯は同じく42本?
短頭種もマズルが長い多くの犬種と同じく、歯は42本生えています。
狭い空間にギッシリ生えているため、噛み合わせが悪くなっていることも……。
また、下あごが上あごよりも長く、受け口になっている犬種が多いのも特徴のひとつです。
嗅覚は劣る?
短頭種は、臭いを受けとる場所である嗅上皮(きゅうじょうひ)のスペースが狭い構造からも、マズルが長い犬種より嗅覚が劣ると推測されます。
マズルはしつけに効果的?
犬のしつけの方法に『マズルコントロール』というものがあります。
ここでは、マズルコントロールの目的についてご紹介していきます。
目的① 教育する
本来、母犬は子犬に対してマズルを噛むなどしてしつけを行います。
このように、マズルコントロールは犬の習性に沿ったしつけ方であるため、犬の本能に訴えかけることができます。
マズルコントロールは、犬にわかりやすく「やっていいこと」と「やってはいけないこと」を教育する目的を持っています。
目的② リーダーだと認めさせる
愛犬がいくらかわいくても、しつけをせず野放しにしてしまうと、犬は「この飼い主は自分よりも下」と考え、好き放題してしまうでしょう。
マズルコントロールでしっかりしつけることによって、飼い主さんをリーダーだと認識させ、言うことを守るように教育させる目的があります。
目的③ 信頼関係を育む
前述したように、マズルは鼻や口などの生命活動に必要不可欠な器官が密集しているため、多くの犬は急所であるマズルに触れられることを嫌がります。
しかし、飼い主さんとの間に信頼関係が生まれることで、犬はマズルに触れられても抵抗しないようになります。
このように、マズルコントロールは、愛犬との信頼関係を育む大切な役割があります。
マズルコントロールのメリットとは?
マズルコントロールによって、しつけや信頼関係の構築ができることで次のようなメリットがあります。
犬が落ち着く
愛犬が興奮してしているとき、マズルを優しく包み込むように触れることで、気持ちを落ち着かせる効果があります。
お手入れが楽になる
マズルに日々触れていると、徐々に口まわりに触れることへの抵抗を感じにくくなります。
そうすることで、歯や口のお手入れが楽になるというメリットがあります。
病院で暴れにくくなる
いつもマズルに触れていると、ストレスの大きい病院のような場所でも気持ちを落ち着かせたり、口を押さえることもできるため暴れにくくなります。
鼻は犬にとってのデリケートゾーンであり、気持ちを落ち着かせることができる感覚器官となっています。
▼犬のしつけについての記事はこちら
マズルコントロールのやり方
マズルコントロールには正しいやり方や注意点があります。
マズルコントロールをしていくために、注意点を理解して正しいやり方を知りましょう。
気持ちいい箇所を探す
マズルコントロールは、犬が触れられて気持ちがよさそうな箇所を見つけることから始まります。
敏感な感覚器官であるマズルは最初は犬も嫌がりますが、優しく触れ、犬をいかにリラックスさせられるかが重要です。
いきなりマズルを掴むことは、犬にとってストレスになるためやめましょう。
マズルを数秒間優しく覆う
犬が落ち着いたら、マズルを数秒間優しく手で覆います。
力を入れず、あくまでも優しく包み込むようにすることを意識しましょう。
数秒経ったら、手を離します。
大人しくしていたら褒める
マズルに触れている間大人しくしていたら、褒めてあげるようにしましょう。
この動作を繰り返すことによって、犬がマズルコントロールに順応していくはずです。
悪いことをしたらマズルを覆う
マズルに触れることに慣れてきたら、実際にしつけていきましょう。
犬がやってはいけないことやイタズラをしたとき、その場でマズルを覆います。
このとき、怒っているからといって強く掴むのではなく、犬が抵抗しても動けないようにしっかり押さえるようなイメージです。
犬が叱られていることを認識したら、手を離しましょう。
マズルを掴んだまま長時間怒ることは、犬にとって信頼関係ではなく恐怖心を植え付けてしまうため逆効果になります。
無理にする必要はない
マズルコントロールは、これまでお伝えしてきたように、しつけや主従関係を認識させることに役立ちます。
しかし、既に主従関係が作られている場合やマズルコントロールを嫌う犬に必ずしも行う必要はありません。
子犬から教えるのがおすすめ
マズルコントロールは、子犬のときに母犬から受けるしつけです。
そのため、マズルコントロールをするなら、出来るだけ早い段階から始めるのが理想的です。
成犬になることで犬歯も鋭くなり、飼い主さんがケガをしてしまうリスクが高まります。
嫌がらないためのコツ
マズルコントロールを行うなら、出来るだけ犬が嫌がらない方法でやりたいですよね。
この章では、犬が嫌がらないマズルコントロールの方法について紹介します。
マズルを強く掴まない
「しっかりしつけをしよう」という一心で、強めにマズルを掴んでしまう方もいるのではないでしょうか?
マズルは犬にとって、重要な器官が密集している敏感な箇所です。
強くマズルを掴んでしまうことでストレスを感じ、マズルコントロールを嫌がるようになってしまいます。
マズルコントロールを行う場合は、愛犬の様子を観察しながら力加減に十分気を付けてください。
怯えている犬にはしない
何らかの理由で人間に怯えている犬は、マズルを触れられることに極度の抵抗を感じて暴れてしまうこともあるでしょう。
その場合は、無理にマズルコントロールをすることはやめましょう。
罰として使わない
マズルコントロールは、しつけ方法のひとつです。
しかし、罰としてマズルコントロールをあまりにも利用すると、マズルコントロールに対して恐怖感を抱いてしまいます。
犬のしつけは、罰だけでなくご褒美を与えることが効果的なシチュエーションもあります。
何か学習したり成功したときには、マズルコントロールを行った後に褒めてあげるように意識しましょう。
マズルガードは効果的?
マズルに付ける道具として、『マズルガード』があります。
マズルガードについて知って、愛犬に付けるかどうか検討してみましょう。
マズルガードの役割とは
マズルガードは、犬のマズルを覆うように装着する口輪です。
マズルガードの主な役割は、以下の4点です。
- 噛みつき防止
- 無駄吠え防止
- 傷舐め防止
- 拾い食い防止
装着することで、見知らぬ人への噛みつきや無駄吠えを回避できるため、大型犬やよく吠える犬に対しては有効な道具だといえるでしょう。
また、雑草や腐った食べものなどの拾い食いを防止する役割もあります。
マズルガードを使えば、拾い食いによる感染症や傷を舐めて化膿するリスクを減らすことができるため、必要であれば検討しましょう。
▼犬の散歩のしつけについての記事はこちら
マズルガードの使い方
マズルガードを使う際には、犬の口のサイズに合うものを選びましょう。
サイズを選ぶときには以下の点を計測します。
- マズルの長さ
- 鼻まわりの長さ
- 首まわりの大きさ
- 鼻の幅 ・首の後ろまでの長さ
最初のうちはマズルガードに抵抗を示すこともあるため、おやつなどを与えながら慣れさせるようにしましょう。
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(写真のワンちゃん・・・aine0922さんのアインちゃん)
マズルガードを付けるときの注意点
マズルガードを付ける際には、2つの注意点があります。
熱中症に気をつける
マズルガードは鼻先を覆うものなので、素材やサイズによっては呼吸が苦しくなることも。
そのため、通気性の良い素材でサイズ感が合ったマズルガードを使うようにしましょう。
また、水が飲めるように穴が空いているマズルガードもおすすめです。
他にもかわいい見た目のマズルガードもあるので、愛犬に合ったもの試してみましょう。
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(写真のワンちゃん・・・chachakuropapaさんの茶々丸ちゃん)
使う場面は少なめに
マズルガードは、異物が顔の前に付いているのと同じです。
そのため、長時間付けることは大きなストレスになるためおすすめできません。
使う場面を限定して、犬がストレスを感じない程度に上手に活用しましょう。