犬の貧血は食事を変えるべき?鉄分の過剰摂取や貧血対策について!
犬の重度の貧血
犬も人と同じように、貧血を起こすことがあります。
ここでは犬の貧血について紹介していきます。
貧血の症状
貧血になると、下記のような症状が見られます。
- 足元のふらつきが酷くなり、倒れることがある。
- 食欲がなくなる。
- 疲れやすくなって寝てばかりの状態が続いたり、階段の昇降が遅くなったりする。
- 手足が冷えて震える。
- 健康な時はピンク色の歯茎が、妙に白っぽくなる。
- 呼吸が荒くなり、しきりに水を飲みたがる。 など
重篤化すると
重篤化すると『血尿』や『黄疸』が出るケースもあり、「貧血くらい」と軽く見てはいけません。
老犬の貧血を放っておいたら、急死してしまったという事例も報告されています。
貧血の症状は他の病気と重複する部分もあるため区別が難しいのですが、複数の症状が該当するときは貧血を疑ってみましょう。
貧血の原因
犬の貧血は様々な原因があり、症状だけでは判別できません。
深刻な事例としては、『白血病』といった骨髄系や、『免疫介在性溶血性貧血』など死亡率が高い免疫系の異常による場合が挙げられます。
感染症による貧血
『犬バベシア病』のような感染症が原因となることもあります。
バベシアとは、マダニが犬の血を吸う際に侵入する寄生虫の名前です。
バベシアが犬の体内で赤血球を破壊するため、犬が貧血になるのです。
中毒による貧血
『アリルプロピルジスルファイド』という有害な成分を含む『ねぎ』や『ニラ』といった野菜類を食べると、犬が中毒症状を起こして貧血になることもあります。
怪我や遺伝による貧血
犬が怪我や生理によって大量の出血をした場合や、遺伝によるケースも見られます。
遺伝による貧血は、オスよりもメスの犬の方が発症することが多いようです。
鉄分の多いドッグフードに変えるべき?
鉄分が不足すると、赤血球のヘモグロビンと筋肉のミオグロビンを生成できず、『鉄欠乏性貧血』と呼ばれる貧血を引き起こします。
そのため、愛犬には鉄分を多く含む食事を与えることが欠かせません。
鉄分の種類
鉄には『ヘム鉄』と『非ヘム鉄』の2種類があります。
この2つの大きな違いは体への吸収率です。
ヘム鉄の方が、非ヘム鉄と比較すると吸収率が5~6倍高いと言われています。
ヘム鉄を含む食材
ヘム鉄を多く含む食材として、下記のような動物系のものや、赤身の魚類などが挙げられます。
- 豚・鶏・牛のレバー
- 馬肉
- 鹿肉
- 牛肉
- カツオ
- サバ
- サンマ など
これらの食材には特に吸収率が高いヘム鉄が多く含まれているため、効率的に鉄分を摂取できるでしょう。
非ヘム鉄を含む食材
非ヘム鉄の鉄分を含む食べ物としては、下記のようなものが挙げられます。
- 小松菜
- ほうれん草
- 茹でた大豆
- 乾燥ひじき
- 卵黄 など
ただし、鉄欠乏性貧血や大量出血中の犬は、こうした食事だけでは足りないこともあります。
鉄分不足を補うサプリなどを与えるとよいでしょう。
ドッグフードに含まれる鉄分
犬が1日に摂取すべき鉄分の量は、成犬で体重1キロ当たり1.32ミリグラム〜1.4ミリグラムとされており、これ以上摂らせる必要はありません。
バランスの取れたドッグフードには、必要な量の鉄分が含まれているので、健康な犬にはそれ以外に与えなくて大丈夫でしょう。
鉄分の過剰摂取
総合栄養食のドッグフードに加え、鉄分の多い食材を大量に与えてしまうと鉄分の過剰摂取になってしまいます。
過剰摂取してしまうと、食欲を失ったり下痢など消化不良の症状を起こすことがあります。
健康な犬ならば、総合栄養食を与えるだけの食事で十分です。
貧血気味のときは鉄分の必要量について獣医さんに相談してから決めましょう。
貧血のときはレバーをあげていい?
鉄分が多く含まれる食べ物として、レバーをイメージする人も多くいるでしょう。
犬はレバーを食べることができますが、正しい方法で与えなければ健康を害することがあるので注意しましょう。
ここからは、レバーの成分や与える際の注意点を紹介していきます。
レバーの効果
動物のレバーには、貧血防止に役立つ鉄分やビタミンA・B群の成分が多く含まれています。
また、ブロッコリーやキャベツといった野菜類は鉄分の吸収を促進するビタミンCを多く含むため、レバーと共に与えることにより、貧血防止の効果を高めます。
レバーには、皮膚や粘膜の健康を保つ作用もあり、貧血症状のない愛犬にも食べさせている飼い主さんは多いでしょう。
どのレバーも食べる
特に、鶏レバーより豚レバーの方が貧血対策には効果的だと言えるでしょう。
また、豚・鶏・牛のどのレバーでも、ほとんどの犬は好んで食べてくれるので、味付けなども苦労することがありません。
レバーは高タンパク
レバーは高タンパクの食材です。
高タンパクと聞くと、身体に良いイメージがありますが、摂りすぎにも注意する必要があります。
また、腎不全である場合などの与えてはいけないケースもあります。
レバーを与えたいときには獣医さんに相談してからの方が安全でしょう。
必ず加熱すること
犬にレバーをあげる際には、いくつか注意点があります。
まず、生のレバーを犬に与えてはいけません。
生のレバーは、鮮度が良くても病原体が多く、免疫低下した犬が食べると食中毒を起こして死に至ることもあるのです。
また、生のレバーには寄生虫が住み着いていて、犬の体内に入り身体を蝕むこともあります。
レバーは必ず加熱調理してから犬にあげましょう。
加熱調理の方法
加熱調理の方法としては、焼いても茹でてもかまいませんが、最低75度で1分間以上加熱する必要があります。
沸騰したお湯で1分以上加熱する茹で方なら安心でしょう。
食欲のない犬には、茹で汁を飲ませるだけでも効果があります。
栄養やカロリーの摂りすぎに注意
レバーにはビタミンAが多く含まれているため、食べ過ぎてしまうと『ビタミンA過剰症』になってしまいます。
ビタミンA過剰症による症状として下記のことが挙げられます。
- 腎臓、肝臓機能の低下
- 食欲不振
- 体重減少 など
また、レバーはカロリーが高いので、食べ過ぎると肥満の原因にもなります。
トッピング程度にしておく
レバーは与えなければならない食材ではありません。
たまにトッピングとして食べさせる程度の量にしておきましょう。
保存方法
生のレバーを食卓に置いておくと犬が食べてしまうこともあるので、保存方法には気を付けなければなりません。
生レバーを購入したら速やかに茹でて、一口サイズに切り分けて冷凍庫に保存しておけば、少しずつレバーを食べさせられます。
冷凍保存をしているレバーは、2週間以内には使い切るようにしましょう。
犬の貧血対策ができるおやつ
愛犬のおやつとして、飼い主さんの食べ物を分け合うことも珍しくないでしょう。
しかし、飼い主さんの食べ物に犬の貧血の原因となる食材が入っていたり、貧血防止に役立つものが不足していたりすることが少なくありません。
また、人の食べ物の中には犬が食べてはいけないものが含まれている可能性もあります。
犬の健康を考えるうえでは、飼い主さんとは別に愛犬用に特別なおやつを用意することが必要です。
サプリをおやつにトッピングする
一般的に犬は食事よりおやつを楽しみにしているため、好物のおやつに貧血にいいサプリなどを混ぜて与えれば喜んで食べてくれるでしょう。
食事とおやつの両方で貧血対策を講じると、より早い回復が見込めます。
様々なタイプのサプリ
鉄分を多く含むサプリには、粉末状のものや柔らかいジャーキータイプなど、硬い食べ物が苦手な犬でも食べられるものが開発されています。
サプリはそのままの形でも食べやすいのですが、子犬や老犬には細かく砕いてから与えると良いでしょう。
手で簡単に小さく割れるサプリも販売されています。
肉をおやつにトッピングする
冷凍保存しておいた豚レバーなどを電子レンジで解凍してから細かく切り、従来のおやつの上にトッピングするのも良いでしょう。
レバーやサプリは一度に与えすぎず、毎日少しずつ継続的に摂取させることが重要です。
手作りご飯で貧血対策
サプリやドッグフードといった既製品に頼らず、貧血に効く手作りご飯を考案することも大切です。
愛犬の好みを生かし、鉄分やビタミンA・B類を効率よく摂れるレシピを作りましょう。
飼い犬の大好物となる手作りご飯を発案することにより、劇的に血液成分の数値が回復した例もあります。
非ヘム鉄でも良い
鉄分をできるだけたくさん摂らせたいからといって、ヘム鉄にこだわる必要はありません。
非ヘム鉄系の食品でも、ブロッコリーやキャベツといったビタミンCの豊富な食べ物と一緒に摂れば、十分な鉄分が供給されるでしょう。
いずれも柔らかく煮たり蒸したりして、消化吸収しやすくする工夫は欠かせません。
手作りご飯の注意点
手作りご飯を与える場合、気を付けなくてはならないことがあります。
ドッグフードの量を減らす
手作りご飯を与えるようになったら、ドッグフードの量を減らすことを忘れてはいけません。
従来通りの量では栄養の摂りすぎになり、肝臓などの消化器系に過剰な負担をかけます。
栄養の過剰摂取
栄養素はたくさん摂らせれば良いわけではなく、摂り過ぎによって健康を害する場合があります。
例えば、ほうれん草やレバーは尿路結石の原因ともなるため、尿路結石のできやすい犬種は注意が必要です。
『ヨークシャーテリア』や『ミニチュアシュナウザー』などの犬種は尿路結石になりやすいので、貧血気味であってもほうれん草やレバーを与えすぎないようにしましょう。
▼犬の尿路結石についての記事はこちら!
食べさせてはいけない食べ物
先述した通り、貧血の原因となるねぎ・にんにく・ニラなどは、犬の食事に入れてはいけません。
このようなネギ類は、有機チオ硫酸化合物という犬の中毒物質を含んでいます。
これらを犬が摂取すると、赤血球中の酸素を運ぶヘモグロビンが破壊され、貧血になりやすくなるのです。
貧血の原因以外にも犬に食べさせてはいけない食べ物は様々あるので、必ず確認して与えるようにしましょう。
▼犬に食べさせていけない食べ物についての記事はこちら