猫が妊娠中にとる行動とは?猫が妊娠中にできること・食事の与え方
猫は妊娠すると甘える?
猫は妊娠しやすい動物であり、その確率は90%以上とも言われています。
そして、発情期や妊娠後に、特徴的な行動や身体的特徴が出てきます。
わかりやすいサインから、気づきにくいサインもあるので、妊娠初期の猫にどんな変化があるのか事前に把握しておきましょう。
妊娠初期の行動
妊娠初期の猫には、下記のような行動の変化が見られるようにようになります。
甘え方の変化
猫は妊娠すると、人の側に寄ってきて甘える仕草が多くなります。
また、ゴロゴロお腹を見せながら床を転げまわる行動が多くなるのも特徴のひとつです。
この行動は、メス猫の発情期でも見られます。
食欲の変化
妊娠初期は、食欲が落ちてご飯を残しがちになる期間が1週間ほどあります。
それとは逆で、妊娠から30日程度経つと、徐々に食欲が増していきます。
通常の1.5倍は栄養が必要な時期なので、食事量や栄養をコントロールする必要があります。
妊娠初期の身体的特徴と変化
猫は、交尾後の1週間ほどでメス特有のホルモンが活発になり、毛並みがツヤツヤになります。
その後、妊娠から20日前後で乳首がピンク色に近づいていき、少しずつ膨らんでいきます。
さらに、妊娠から30日程度経過すると、お腹や乳房が明らかに大きくなり、見た目だけでも妊娠しているとわかります。
薬や予防接種は厳禁
母猫や胎児に悪影響を及ぼす可能性が高いため、猫が妊娠したと判明したら予防接種を受けることは厳禁です。
様々な市販薬も販売されていますが、与えるのはやめましょう。
妊娠中の猫に何らかの薬を与える必要が出てきたときは、必ず獣医さんに相談しましょう。
猫の出産時期
猫が妊娠していることが確認できたら、いつ出産してもいいように準備しましょう。
ここでは出産の時期や前兆、出産前に準備するべきことについて紹介していきます。
しっかり準備することにより、出産の際に猫のストレスを大きく減らすことができます。
出産の時期
猫の発情期は毎年1月〜9月頃で、妊娠期間は約2ヶ月間続くことから、春先から秋口に出産時期を迎えることが推測できます。
出産の兆候
猫は出産が近づくと下記のような行動が見られます。
- 食欲が低下する
- 警戒心が強くなり攻撃的になる
- 乳首や陰部をしきりに舐める
- タオルや床を掘るような巣作り行動をする
- 出産場所を求めてウロウロする
- 呼吸が浅く速くなる など
事前に準備するもの
猫は出産時期が近づいてくると、巣作りを始めます。
そのため、出産場所になる箱などを用意してあげる必要があります。
大きめの段ボール
猫が安心して出産に専念できるように、十分な大きさの段ボールなどを用意しましょう。
段ボールの側面の高さは、子猫が落ちないように高めにしましょう。
新聞紙・毛布
おしるしで汚れてもいいように、新聞紙や使わなくなった毛布などを敷いて、快適な環境を整えましょう。
室内の温度
出産後の子猫はまだ体が弱く、気温の変化にも敏感なため、他の部屋より暖かくしておくと良いでしょう。
室温は、28℃前後で管理してあげてください。
妊娠中の猫の食事
猫の妊娠が確認出来たら、早い段階で食事を普段のものから妊娠中に適したものに変える必要があります。
しっかりとした栄養管理、正しい給餌をして元気な子猫が産めるようにしてあげましょう。
妊娠した母猫への給餌の仕方
母猫は妊娠中および出産の際にとても体力を使います。
また、妊娠初期は母猫の体調を整えるため、出産後は子猫にあげる母乳を作るために適切なご飯を与える必要があります。
妊娠中・授乳中の母猫には脂肪分が多めのキャットフードを選びましょう。
徐々に切り替える
いきなりご飯を変えてしまうと食べてくれないことがあるので、徐々に切り替えていきましょう。
最初は『脂肪分が多めのキャットフードを25%』+『今までのフード75%』程度の割合の母猫用フードを作り与えます。
その後、徐々に脂肪分の多めのフードの割合を増やしていきましょう。
5~7日程度を目安に、脂肪分の多いキャットフードに切り替えると良いでしょう。
妊娠中の体重管理
母猫は妊娠初期~中期にかけて体重が増加します。
体重の増加量は+40%未満が理想と言われています。
脂肪分の多いキャットフードの量を徐々に増やすことで、体重の増加をコントロールしてあげましょう。
猫が妊娠中に避妊できる?
あまり好ましくないことですが、母猫が妊娠中の避妊(中絶)は可能です。
いつからいつまでなら中絶ができるのか、時期や方法などについて紹介します。
中絶の方法
中絶を行う方法は大きく分けて二通りの方法があります。
- 薬を使う
- 中絶手術をする
薬を使う
薬を使って行う中絶は、早期なら可能です。
お腹の中の子猫がある程度大きくなっているときは使用できず、副作用が発生する可能性があります。
中絶手術をする
中絶手術は、卵巣子宮摘出をする手術です。
薬より確実な方法ですが、薬に比べて費用が高く、母猫の負担も大きくなります。
中絶できる期間
中絶手術を行うなら、妊娠してから30日くらいまでにしましょう。
30日くらいまでなら、通常の避妊手術より術後の傷は大きくなるものの、危険性はさほど高くないでしょう。
30日を超えてからも手術は可能ですが、妊娠後期になると出血量が増加するので、母猫の身体的負担が増えてしまいます。
中絶にかかる費用
猫の避妊手術(卵巣子宮摘出)にかかる費用は、およそ15,000円~30,000円です。
この金額は手術のみの費用になり、他にも下記のような費用が発生します。
- 血液検査費用
- 麻酔料
- 入院費
- 手術後の抗生物質投与費用 など
全ての費用を合わせると50,000円~80,000円に収まることが多いようです。
出産予定がないなら事前に避妊手術を
始めから出産予定がないときは、母猫の負担なども考慮し、早い段階で避妊手術をするべきでしょう。
メリットこそあれど、デメリットに関してはほとんどありません。
避妊手術のメリット
避妊手術をすると、望まない出産を避けられるのは当然として、発情しなくなるので、大きな鳴き声やマーキングなどの行為がなくなります。
避妊手術のデメリット
避妊手術をすることによる目立ったデメリットはありませんが、しいてあげるなら発情行動によるエネルギーの消費がなくなるため、わずかばかり太りやすくなることです。
▼猫の避妊・去勢手術についての記事はこちら!
妊娠中に出血したら
母猫が妊娠中に出血をしたら、もしかすると流産や何かしらの病気に感染しているかもしれません。
流産が考えられる症状
流産が考えられるケースは、妊娠の段階によって症状が変わってきます。
妊娠初期
妊娠初期に流産している場合は、目立った症状はないのですが、陰部から出血を確認できることがあります。
生理みたいに見えても、猫は犬と違って生理がないので、生理中だから出血しているということはありません。
妊娠から30日以上経過
妊娠から30日以上経過し、流産、死産している場合は、排泄物に血液が混じったり、不明瞭な排泄物が出てくることがあります。
流産の原因と対策
母猫が出産前に流産してしまう理由として下記のようなことが挙げられます。
- ウイルス感染
- 物理的なもの
- 栄養不良 など
感染症による流産
『猫汎白血球減少症』や、『猫白血病ウイルス感染症』に感染していた場合、高確率で流産、死産がおきます。
運よく出産できたとしても、子猫がすぐ死んでしまうことが多いです。
感染対策は、ワクチンによる予防接種を行うことです。
予防接種は妊娠していなくとも、普段の感染症対策にもなるので、可能な限り毎年接種した方が良いでしょう。
物理的な衝撃による流産
物理的な衝撃による流産も少なくありません。
高所からの落下や不慮の事故など、胎児に衝撃や圧迫感を与えると流産、死産を起こしかねません。
対策としては目を離さないことと、母猫の障害になるような物を極力置かないことなどです。
栄養不良による流産
妊娠した後に与える食事の栄養価が足りなかったり、単純に食事量が足りないときに流産が発生することがあります。
妊娠段階によって徐々に脂肪分の高いキャットフードに切り替え、十分な栄養を摂らせてあげましょう。