犬を地震から守ろう【地震前・留守中・避難所・トラウマ】マニュアル
犬は地震がわかる?
犬などの動物は、地震の前触れ(地震の前兆)が分かるという話を聞いたことがありますか?
人間と比べると、自然の動きを察知しやすい生き物は、時に地震予知能力を発揮すると言われています。
地震を察知して異常行動をとる?
「地震が来そうだな」という自然現象を事前に察知して、いつもと違う行動をとる犬や猫がいます。
また、自然界で暮らしている鳥や虫なども普段と異なる動きをすると言われています。
人間よりも動物の方が、嗅覚や聴覚などが優れていて、さらに野生の勘が働いているからでしょうか。
どのような異常行動をとるのか
阪神大震災の前に、近隣の犬や猫がいつもと違う行動をとっていたという調査があります。
- おびえたり、怖がる
- しきりに吠える
- 遠吠えをしてうるさい
- 落ち着かず、興奮する
- 地面を掘ったり、しきりに匂いを嗅ぐ など
何かが違うということを察知して人間に伝えようとしたり、遠吠えなどで遠くの仲間に危険を知らせようとしているのかもしれません。
何を察知しているのか
地震が発生する原因は、『地盤が動き、歪むこと』です。
ぶつかりあった岩盤がメリメリと破壊されていくことで、電磁波のような波長が生じます。
こういった『岩盤が動く音や、生じる電磁波』を感じ取っているのではという説が有力です。
犬のための地震対策
災害時の対策は済んでいますか?
「もしものときにどうしよう?」とならないように、必要なものややっておくべきことをご紹介します。
犬の防災グッズ
人間用の避難グッズと一緒に、犬用の防災グッズもひとまとめにしておきましょう。
備えておきたいものは以下の通りです。
- フード・おやつ
- 飲料水
- 食器(折りたたみ式)
- 避難用具(キャリーケースなど)
- タオル(10枚ほど)
- ガムテープ
- トイレ用品
- ゴミ袋
- ブラシ
- おもちゃ
- 水のいらないシャンプー
- ペット用ウェットティッシュ
- 消臭スプレー
- 予備の首輪とリード
- ワクチンなどの証明書コピー
- 「うちの子」と証明できるもの(写真など)
- お薬(必要に応じて)など
何はともあれ、1週間分の食糧と水を確保しましょう。
最初の数日は全く目途が立たない恐れがあるので、おやつも含めて備えておく必要があります。
ケージやキャリーケースが壊れてしまうことも考えられるため、補強用にガムテープもあると安心です。
避難所生活を余儀なくされる場合は、周りの方への配慮のためにも衛生対策グッズを準備しておきましょう。
事前にしておくべきしつけ
避難生活は他の方々との共同生活になるので、穏便に暮らせるように最低限のしつけはしておきたいものです。
- おすわりや待てができ、落ち着ける
- 無駄に吠えない
- ケージでおとなしくできる
- トイレは決まった場所でできる など
室内で放し飼いにしている場合は、ケージに入ると嫌がる恐れがあります。
夜寝るときは、クレートやケージに戻るような癖をつけておくと安心です。
予防接種とマイクロチップ登録
避難所では、他の犬や猫とも一緒に暮らすことになります。
病気をもらったり移したりしないように、年1回の狂犬病予防接種や、ノミ・ダニ対策もしっかりと済ませておきましょう。
また、災害時にパニックになって脱走してしまうことも………。
そんな事態に備えて、事前にマイクロチップを装着しておくと安心です。
▼犬の脱走についての記事はこちら
マイクロチップの装着費用
病院にもよりますが、数千円〜1万円ほどで装着できます。
注射のような感じで埋め込むだけと、簡単な処置ですので早めに済ませておきましょう。
▼マイクロチップの入れ方や手続き方法についての記事はこちら
留守中の地震から犬を守るには
地震が来るのは、家族が一緒にいるときとは限りません。
家族不在時に備えて、犬に留守番をさせるときに注意しておきたいポイントをご紹介します。
安全確保のための家具の配置
家具の配置やクレートの置く場所などを見直しましょう。
一番怖いのは大きな家具の転倒です。
倒れてきて下敷きになってしまわないように、1m以上高さのあるものには、転倒防止グッズを取りつけましょう。
落下による危険
また、留守番時に犬の居場所となるサークルなどの置き場所にも気を付ける必要があります。
大きな家具の近くにおくと、倒れてきたり引き出しや戸棚の中から物が降ってくる恐れも。
本棚のように高いところに物を置いたり、飾っている場合も落下の恐れがあるため注意が必要です。
下敷きにならないように、犬が自由に動けるエリアは『高いところにモノを置かない』というルールを設けましょう。
脱走防止のための安全策
愛犬が地震を怖がることで、いつもと違う行動をとることがあります。
激しくジャンプをした結果、「窓から脱走してしまった!」なんてことにならないよう、出かけるときには戸締りをしっかりしましょう。
外飼い犬の場合は、定期的にフェンスの高さなどの点検も行いましょう。
留守番時間の長さにもよりますが、数時間であればケージで過ごしてもらうことも安心策のひとつです。
家族や周りの人との連携
大地震となると、飼い主さん自身がすぐに帰宅できるとは限りません。
数日間助けが来ないということもあり得るので、万が一に備えて家族や周りの人と『もしもの時の犬の対応』について話し合いをしておきましょう。
犬との避難で注意すること
犬と一緒に避難所へ行くとなった場合は、どのような生活になるのでしょうか。
避難所での様子や事前に考えておきたい『ペット同行避難のマナー』をご紹介します。
ペットとの避難所生活
避難所ごとに『ペット受け入れ可否』が異なるので、事前に確認をとる必要があります。
またペット可の場合でも、多くは人間とペットのスペースが分かれているので、一緒の場所にいられるとは限りません。
また避難先がペットNGの場合は、安全を確保したうえで自家用車の中で暮らすというケースも……。
車中避難になることも視野に入れながら、万が一の場合は親戚などに預けることを考えておく必要があります。
ガイドラインを確認
環境省が『災害時におけるペットの救護対策ガイドライン』というマニュアルを発行しています。
実例写真も多くわかりやすくまとまっているので、一度目を通しておくと良いでしょう。
避難所で気を付けたいポイント
ただでさえ、地震に対する恐怖やストレスで精神的負荷がかかる避難所生活ですが、犬がいるとさらに配慮が必要なポイントがあります。
お互いが気持ちよく暮らせるように、できる限り事前準備をしておきましょう。
周りの方々への配慮
周りの人が動物好きだとは限らないうえ、アレルギーなどの可能性もあります。
タオルや消臭グッズなど、衛生環境を保てるような荷物を準備しておきましょう。
また、できるだけ知らない人に触れてもらう機会を増やすなどして、むやみに吠えたり威嚇しないように育てることも大切です。
犬のストレスや体調への配慮
環境の変化に戸惑うのは人間だけではありません。
他の犬との共同生活に戸惑ったり、地震の恐怖でストレスを感じ、体調不良に陥るペットもいます。
できる限り声をかけたり一緒に時間を過ごせるように意識して、不安を取り除けるようにしましょう。
地震でトラウマになったときは
人間でも地震後のストレス反応は個人差がありますが、犬によっても地震恐怖からくる症状が強く表れる子もいます。
どのような形でストレスが表れるのか、また苦しんでいる姿を見かけたら飼い主として何ができるのでしょうか。
恐怖体験をした犬がとる行動
地震直後というより、状況が落ち着いたころにじわじわと反応が出るケースが多いようです。
- 常に怯えて、音にも敏感になる
- 食欲が落ち、痩せていく
- 飼い主のそばを離れない
- 下痢や血尿になる など
地震そのものの恐怖や不安定な避難所生活が引き金となって、心も体も不調に陥っていると考えられます。
飼い主ができること
愛犬がビクビク怯えている様子を見ると、心配になってしまうものです。
ストレスを和らげるように飼い主さんにできることは、とにかく安心させることです。
- できるだけ近くにいる
- 優しく声をかける
- 撫でたり抱っこをして触れる など
「一緒にいるから大丈夫だよ」と伝えることが大切です。
避難所生活だと生活環境が変わり、常に一緒にいることは難しいかもしれませんが、できる範囲で近くにいて支えてあげましょう。