犬の認知症とは?【症状チェック・原因・治療法・予防法】徹底解説
犬の認知症チェック
人だけではなく、実は犬も認知症になると言われています。
具体的にどのような症状があるのか、何歳から始まりやすいのかなどご紹介します。
認知症の初期症状
シニア犬に下記のような症状が現れたら、認知症の疑いがあります。
最初からこれらの症状が一斉に出るというわけではありませんが、「あれ?」と思い始めてから認知症末期に向けて、少しずつ増えていくようなイメージです。
- 夜間に単調な声で鳴き続ける(遠吠えなどの吠えるのとは違う)
- 昼間寝て、夜に活動的になる(昼夜逆転)
- ぼーっと目の焦点が合わなくなる
- 急に怒ったり、かみつこうとする
- 同じ場所をグルグルと歩き回る
- 声をかけても反応しなくなる
- トイレの失敗が続いてしまう
- 狭いところに入りたがる など
こうして並べてみると、人の認知症とよく似ていますね。
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認知症はいつ頃から?
一般的に、犬は7歳を超えると『シニア犬』と呼ばれます。
シニア期に突入してからの生活スタイルなどが原因で、11歳頃から少しずつ症状が出始めるようです。
また、13歳を超えると発生率が急増します。
認知症になりやすい犬種
認知症になるかは個体差があるので一概には言えませんが、日本犬(柴犬や秋田犬など)は認知症になりやすいと考えられています。
一方で、海外犬種であるゴールデンリトリバーやチワワ、ダックスフントなどは発生しにくいと言われています。
とはいえ、はっきりとした原因は解明されていません。
犬の認知症の原因
老犬期である11歳を超えた頃に症状が出やすいとされる犬の認知症ですが、何が引き金となって発症してしまうのでしょうか。
加齢が大きな原因
人の認知症と同じく、年齢を重ねていくことで、少しずつ脳機能が低下していくことが犬の認知症の大きな原因です。
体への反応を送り出す脳機能が低下していくことで、今までは当たり前に出来ていたことが、少しずつ出来なくなっていきます。
また、人や場所への認識力も低下していきます。
単調な生活スタイル
毎日同じ時間に起きて、同じ時間に食事をして、同じ時間に散歩に行き、同じルートを通って帰るという、生活スタイルを繰り返していませんか?
飼い主さんのスケジュールの都合もあるので、『毎日フレキシブルに』というのは現実的でないかもしれませんが、年齢が上がってきたら少し意識をしてみましょう。
いつもと順番や時間帯を変えてみることで、少しずつ老化する脳へいい刺激を与えることができます。
ストレスは認知症を促進
ストレスを感じることで、脳内に酸化物質が大量に出てしまいます。
この酸化物質とは、脳の老化を早める効果があります。
シニア犬世代に突入したら、出来るだけストレスフリーな暮らしが出来るよう、愛犬の生活空間の見直しなどを行う必要があります。
犬の認知症に特効薬はある?
「自分の犬が認知症になってしまったら、いったいどうしたら良いんだろう…。」と、不安を覚える飼い主さんも多いでしょう。
もしも、犬が認知症を発症した場合の治療方法についてご紹介していきます。
薬の治療法
残念ですが「この薬を飲んだら完全に治った!」というような特効薬は、現時点では発表されていません。
しかし、動物病院にかかることで、認知症の進行を遅らるような薬を処方してもらうことはできます。
昼夜逆転が気になる犬には、睡眠の質を高めるような薬を投与することも。
また、不安感の強い場合には、抗不安薬が処方されることもあります。
特効薬がないからと言って、「医者もお手上げ…」ということではないので、認知症を早期に発見して適切な対処を行うようにしましょう。
食事の治療法
認知症を完全に食い止めることはできないけれど、食事やサプリメントなどを通じて、犬の認知症対策を行うことがあります。
どの治療法が合うかどうかは、トライアンドエラーの繰り返しとなり、長い道のりです。
だからこそ「認知症かもしれない」というサインをキャッチしたら、早い段階でかかりつけの獣医さんに相談を始めましょう。
生活環境の見直し
獣医さんからのアドバイスは、薬や食生活だけではありません。
シニア期に突入した犬の、住環境も認知症の進む速度に影響が出てきます。
以前は気にならなかった段差がストレスに感じたり、元気な頃は楽しめた散歩コースが苦痛になってきたり…と、「今まで通り」がストレスになっていることも。
シニア犬にとってより心地良いライフスタイルになるよう、生活スタイルの見直しを提案されることもあります。
認知症犬ケアサプリ・食事
認知症を発症している老犬に与えると良いと言われている『認知症サプリ』や『認知症対策フード』が販売されています。
一体、それらには効果があるのでしょうか?
効き目の程は犬による
先に述べたように、認知症への『特効薬』はありません。
認知症対策とは「これをしたら、全部の犬の認知症が治る!」と言った、簡単な話ではないからです。
認知症の進行防止策に効き目があるかどうかは、その個体によって全く異なります。
だからこそ、長い道のりにはなりますが、色々と試しながら「これかも」というものに出会えるまで根気強くいきましょう。
サプリやフードに含まれる成分
認知症対策になるサプリやフードに含まれている成分をご紹介します。
認知症の大きな原因が脳機能の低下が進むことなので、少しでも食い止められるように積極的に摂りたい成分です。
DHA(ドコサヘキサエン酸)
DHAは、神経細胞を修復する効果を持っています。
サンマやアジなどの青魚に入っている成分なので、聞いたことがある方もいらっしゃるかもしれません。
「魚を食べると頭がよくなる」と言われることがありますが、DHAは脳内の細胞を修復したり、情報伝達がスムーズにできるように促す成分を含んでいます。
脳の老化を食い止めるためにも、トッピング程度に摂取しましょう。
EPA(エイコサペンタエン酸)
あまり聞きなれない成分ですが、EPAは、体中の血液をサラサラにして血栓を防ぐ効果があります。
特に脳内は細い毛細血管が張り巡らされていますが、隅々まで新鮮な血液が流れなくなると、脳血中や脳卒中などを引き起こすリスクに繋がります。
老化と共に運動量が減り、血の巡りも衰えてくる老犬世代をサポートしてくれる成分です。
必要な成分は人間と同じ
実はこのDHAとEPAは人間の認知症予防にも効果があると言われている重要な成分です。
人も犬も、脳の機能を出来るだけ正常に保つために必要な成分は同じということ。
サプリやフードを探す際には、DHA、EPA、そして老化防止である抗酸化作用のあるビタミンが含まれているものを選びましょう。
犬の認知症予防
出来れば愛犬には元気で長生きをしてほしいと願うもの。
認知症予防として、シニア期を迎えた犬のいるご家庭で出来ることをご紹介します。
とくに認知症になりやすい犬種である日本犬と暮らしている場合には、早い段階から意識すると良いでしょう。
必要な栄養素を補う
今まで食べている食事を拒まない限りは大きく変更する必要はありませんが、認知症対策のサプリなどを追加し、必要な栄養素を補うことは有効な対策になります。
消化機能が衰えてきていて食べ残しが気になる場合は、1回あたりの量を減らして、回数を増やすというのが効果的です。
生活環境を見直す
ストレスが認知症を引き起こす原因になる点を踏まえて、シニア犬が暮らしやすい環境を作りましょう。
今までは意識していなかった点も、年齢が上がってくることで動きが鈍くなりストレスになることがあります。
- ちょっとした段差でもスロープを付ける
- トイレの場所を増やして行きやすくする
- ベッドは入りやすい縁が低いものを選ぶ
- 家具を減らして、ぶつかりにくい空間を作る など
小さなことかもしれませんが、体が動きにくくなってきた愛犬目線で、住環境を見直しましょう。
刺激を意識する
毎日が単調であることも、犬の脳への刺激が減ってしまい、認知症を引き起こしたり加速することに繋がります。
出来る範囲で、毎日ちょっとした刺激を取り入れるようにしましょう。
- 簡単なコマンドを学習する
- お散歩ルートを毎日少し変える
- 他の犬とのふれあいを意識する
- 新しいおもちゃやおやつを取り入れる など
何も難しいことではなくても良いので、ちょっとした刺激を意識することで、単調になりがちなシニアライフにいい刺激を与えることができます。
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