猫の糖尿病の症状とは?初期症状や原因、食事の選び方を解説!
猫に見られる糖尿病の初期症状
猫も人のように糖尿病にかかることがあるのをご存じでしょうか。
猫が糖尿病になってしまったときに見られる症状として、下記のようなものがあります。
体重が減っていく
猫の糖尿病の症状としてまず挙げられるのは、食欲旺盛なのに体重が減っていくというものです。
ご飯を食べないという症状は、糖尿病の初期段階ではあまり見られないでしょう。
脂肪をエネルギーにする
糖尿病になると、糖を体内でうまくエネルギーにすることができなくなります。
その代わり、体にある脂肪をエネルギーにしていくのです。
つまり、食事の糖分を吸収できず、体の脂肪が減る一方になるので、食事の量は多くてもどんどん痩せることになります。
多飲多尿になる
多飲多尿も顕著に見られる症状です。
糖尿病になると尿の中に糖が混ざり、尿の量が多くなるため、体の水分が不足状態になります。
そのため、水分をとる量も尿の量も増えるのです。
特徴的な歩き方になる
糖尿病の猫は歩き方にも特徴が表れやすくなります。
具体的には下記のような歩き方になることが多いです。
- 後ろ足のかかとをつけて歩く
- 歩こうとしない
- 足腰がおぼつかない歩き方をする
末端神経の異常
糖尿病になると、内臓だけでなく、手足など末端神経にも異常をきたしやすくなります。
その結果、足に症状が出て歩き方がいつもと異なったり、歩くことを嫌がったりする場合があるのです。
猫の歩き方を見て違和感を感じたら、1つの可能性として糖尿病を疑うことが大切です。
高血糖は危険?
ここでは糖尿病の原因や、どのような状態なのかを紹介していきます。
糖尿病とは
血液の中には体のエネルギーとなるブドウ糖が含まれています。
通常は膵臓で作られる『インスリン』というホルモンが、筋肉や内臓にブドウ糖を吸収させてエネルギーにしています。
食事などで一時的に血中のブドウ糖が増え、高血糖状態になっても、インスリンがしっかり作用すれば体内のバランスは保たれる仕組みです。
ブドウ糖を吸収できない
膵臓でインスリンが作られなくなったり、インスリンの働きが鈍くなったりして、ブドウ糖がうまく吸収されないと高血糖状態が持続されます。
高血糖によるブドウ糖不足により、各器官でさまざまな悪影響が出てしまう状態が『糖尿病』なのです。
糖尿病の原因
では、なぜ糖尿病になってしまうのでしょうか。
考えられる原因として下記のようなことが挙げられます。
肥満
猫の糖尿病の原因はいくつか考えられますが、まず1つは肥満です。
肥満状態だとインスリンの働きが鈍くなりやすいため、糖尿病を引き起こす可能性が高くなります。
▼猫のダイエットについての記事はこちら!
炭水化物の摂りすぎ
炭水化物は糖質が高い食べ物なので、糖尿病の原因となってしまいます。
そのため、炭水化物の多いフードは避けた方が良いと言えます。
ストレス
ストレスによって血糖値を上昇させるホルモンが作られるため、これも糖尿病の原因の1つになると言えます。
膵炎(すいえん)
膵炎は、インスリンを作る膵臓が機能不全になる病気です。
膵炎になると、膵臓で正常にインスリンが生成されなくなったり、激しい炎症によってインスリンの働きが鈍くなるため、糖尿病を発症することがあります。
合併症を引き起こす場合がある
糖尿病になると、『糖尿病性ケトアシドーシス』などといった重篤な合併症を引き起こす場合もあり、体調の急変や命の危険に繋がる可能性があります。
糖尿病を防ぐためには、前述したような原因をできる限り取り除くことが重要です。
糖尿病になった猫の寿命
猫の糖尿病の多くは、高齢にあたる10歳以降に発症しています。
では、糖尿病になった場合、猫の余命はどのくらいになるのでしょうか。
糖尿病の末期症状
糖尿病が進行した場合の主な末期症状は、食欲の減退や下痢・おう吐などです。
また、動きが鈍くなりふらついたり、寝たきり状態になる猫も少なくありません。
末期の余命
末期になると余命はおおよそ数ヶ月ほど言われています。
体調不良で衰弱してしまったり、合併症により突然病状が悪化してしまうケースもあります。
ただし、糖尿病になったからといって、すぐにこのような余命の少ない状態になるわけではありません。
延命することは可能
糖尿病を初期段階でいち早く発見し、適切な対策や治療を行えば、長く延命することは可能です。
例えば、猫の平均寿命はおおよそ15歳ほどですが、治療によっては平均寿命を超えて生きることも不可能ではありません。
また、末期状態でも、集中的な治療を行った結果回復するケースもあります。
対応によって寿命は変わる
糖尿病になった猫の寿命をどの程度と言うことは難しいものです。
それはつまり、糖尿病が発覚した後の対応によって猫の寿命は大きく変わるからです。
糖尿病の猫を少しでも長生きさせるためには小さな変化を見逃さず、その時々でベストな対応を行うことです。
また、症状が進んでも諦めず治療に力を尽くすことが重要なのです。
糖尿病は治るもの?
猫の糖尿病の主な治療方法はインスリン注射と生活習慣の改善です。
ここからは糖尿病の治療方法について紹介していきます。
糖尿病の治療
インスリン注射は、猫の体内にインスリンを注入することで血糖をコントロールするものです。
肥満状態の場合は、食事管理なども一緒に行います。
治る見込みはある
インスリン注射を打っているうちに、肥満状態が解消され血糖が正常に維持できるようになったり、体内のインスリンの機能が回復することがあります。
インスリン機能が回復すると、『インスリン離脱』ができる場合もあります。
確実に治るとはいえませんが、早い段階で適切な対応をとれば、糖尿病は治る見込みもあるということです。
末期になると離脱は難しくなる
猫の糖尿病末期では、インスリン離脱は難しくなります。
症状がかなり進行した状態で、病院に初めて来院するパターンも少なくありません。
このような状態からのインスリン注射は、離脱を目指すものではなく、病気の進行を防ぐためのものになります。
飼い主さんへの負担
インスリン注射は1日数回飼い主さんが行うため、自宅で血糖値を厳しく管理する必要があります。
また、糖尿病の治療を長く続ければ続けるほど費用もかかります。
生活面や費用面、そして病気の猫を支えるメンタル面など、治療にはさまざまな部分で負担が発生します。
これらのことを鑑み、治療しない選択をする人もいます。
猫が糖尿病になった場合は、治療やそこに発生する負担について十分理解した上で、今後の対応をどうするか考えましょう。
猫の糖尿病のための食事
猫の糖尿病では食事を意識することも重要です。
キャットフードの選び方
例えば、市販のキャットフードを購入する際の選び方もその1つです。
炭水化物が多いものは避ける
前述しましたが、血糖値が上がらないようにするためにも、炭水化物が多く含まれているものは避けましょう。
高品質のタンパク質
猫は本来肉食の動物なので、高品質のたんぱく質が多く含まれているものがおすすめです。
適度なカロリー
高カロリーのフードは肥満に繋がる可能性が高いので避けたいところです。
しかし、ひたすら低カロリーのフードばかりをあげることが良いとも言えません。
低カロリーのフードは食べても十分な満足感が得られないことがあります。
その結果、食事量が多くなってしまったり、ほかのおやつを欲しがってしまったりすることがあります。
そのため、適度なカロリーをとれる商品を選ぶことも大切なのです。
食事の与え方に気を配る
一度の食事で大量に食べると、血糖値が上がりやすくなります。
そのため、食事を小分けにして、食事の量や頻度に気を配るのもポイントです。
糖尿病を発症していない状態でも、このような食事を心がければ肥満や糖尿病の予防になります。
愛する猫の健康を守り、できる限り長く一緒に過ごすため、日頃から食生活を意識してみてください。
▼猫の食事の与え方についての記事はこちら!