犬と信頼関係を築くには?信頼関係を確認する方法・崩さないしつけ方
犬に上下関係は必要?
犬の関係は「縦社会で成り立っている」と伝えられてきましたが、近年それは違うということがわかってきました。
はたして犬にとって『上下関係』は必要なのでしょうか?
主従関係でなく信頼関係
犬には、『主従関係ではなく信頼関係が大切』という点について見ていきましょう。
オオカミの習性
遺伝的に、犬はオオカミに近いと言われています。
オオカミは家族で群れをなして生活をしていますが、その上下関係は厳しいものだと考えられていました。
その関係性が犬にもあてはまるとして、飼い主さんとの主従関係を確立させることが重要だとされてきました。
近年判明しつつあること
しかし、その上下関係の概念は、人に飼育されている特殊な環境のオオカミに表れる特性で、野生のオオカミは『家族のような関係性』だということがわかってきました。
それは、オオカミと同じような特性を持つ犬にも言えることです。
犬との関係作りには、『強い力で抑え込む上下関係』よりも、『お互いに良好な信頼関係』を築き上げることが大切なのです。
信頼関係が築けていないとどうなる?
信頼関係が築けていないと、犬は飼い主さんの意思を無視したり困らせたりする問題行動を起こします。
力ではなく、コミュニケーションを取りながらしつけをしていきましょう。
飼い主さんの努力と時間が必要不可欠になりますが、信頼関係を築くためには大切なことです。
犬の態度が人によって違うのは?
「子どもの言うことを聞かない」「お母さんやトレーナーさんの言うことは聞く」など、上下関係があるように感じられますよね。
上下関係を重要としていない犬が、人によって態度を変えているように見えるのは何故でしょうか。
犬は、「お母さんは守ってくれる」「トレーナーさんは怒らず一緒に遊んでくれる」など、相手が自分に向ける行動に対して反応をしているのです。
そのため、「子どもが犬の世話をしっかりできる年齢になると言うことを聞くようになった」というのはよく聞く話です。
犬との信頼関係を診断
犬が信頼している証拠として見せる行動があります。
犬の信頼度がわかる行動
普段の愛犬の様子で、どれくらい思い当たるか考えてみて下さい。
名前を呼ぶと来る
愛犬が他の犬やおもちゃなど夢中になっている対象があるとき、少し離れたところから名前を呼んだり「おいで」と声をかけてみましょう。
どんな状況でも声に反応して寄って来たら、飼い主さんの優先順位が高く信頼している証拠です。
お腹を見せる
様々な生き物に共通していますが、お腹は『急所』であるため隠したい場所です。
そのため、目の前で仰向けになって寝たり体を撫でるとお腹を見せたりする行動は、心から信頼し安心しきっているからこその行動だと言えます。
寄りかかって眠る
当然のことながら、寝ているときは無防備な状態です。
そんな状態で、背中を向けたり寄りかかったりして熟睡できるということは、いつでも安心感を感じていて身を委ねられるほど信頼しているという証拠です。
じっと見つめる
飼い主さんをじっと見つめる犬は少なくありません。
知らない対象をじっと見るのは警戒していることもありますが、 飼い主さんはこれに該当しないでしょう。
じっと見つめてアイコンタクトをとるということは、仲間だと認め、信頼していることを伝えようとしているのです。
口のまわりを舐める
犬が口のまわりを舐める行動は、子犬が母犬に食べものをねだったり、甘える仕草の名残だと言われています。
そのため、口のまわりを舐めるというのは、飼い主さんを母親のように感じ、お世話をして欲しいとせがんだり甘えたりする気持ちの表れなのです。
ただし、口は感染症や衛生面での心配があるため、手など他の部位を舐めるように誘導してあげると良いでしょう。
膝にあごをのせる
愛犬があごをのせるのは、リラックスして飼い主さんに寄り添いたいという気持ちの表れです。
安心しきっている相手に見せる行動ですが、手をのせてくるときは自分が優位な立場であることの主張でもあるので、手を下ろしてから甘えさせてあげましょう。
外出時に見守られる
飼い主さんが外出する際の愛犬の反応はどうでしょうか。
吠える犬もいれば、静かに見送る犬もいるでしょう。
静かに見送る犬は、飼い主さんがまた帰ってくることを疑っていません。
飼い主さんのことを信じているからこそ、吠えて呼び止める必要がないのです。
信頼関係の築き方
犬と仲良くなると、メリットが沢山あります。
良い信頼関係はどのようにして築かれるのでしょうか。
犬と良好な信頼関係の築き方
犬と良い関係性を築いていく上手な方法をご紹介します。
怖がらせない
初対面だと犬は警戒し身構えます。
そのため、家にお迎えしてしばらくは騒がしい行動は控え、大声をあげたりはせず優しく接してあげましょう。
スキンシップ
ちょっとしたことでも褒めてやり、おやつは飼い主さんの手から与えましょう。
犬が気持ちの良いところを探し、撫でてやることもおすすめです。
そうしたコミュニケーションをとることで、「この人は安心できる良い人だ」と認識されるようになります。
喜ばせる
犬が喜ぶことと言えば、『おやつ』『散歩』『一緒に遊んであげる』ことです。
言うことを聞くことができたら褒めてあげましょう。
散歩の時間もつくり、部屋ではおもちゃで一緒に遊びます。
犬は喜んで、飼い主さんに信頼を寄せることでしょう。
▼犬が喜ぶことについての記事はこちら
守る
苦手なことや嫌なこと、危険から守ることも非常に重要です。
犬はそれによってストレスが軽減され、毎日リラックスして過ごすことができます。
コマンドを覚えさせる意味
「おいで」と言って飼い主さんのところに戻ってくるようになれば、 危険を回避できます。
そのようなコマンドを覚えさせるためにも、信頼関係は必要不可欠です。
信頼関係を崩さないしつけ方
犬は主従関係よりも、信頼関係が大事であることがわかりました。
ですが、きちんとしつけもしなければいけません。
どのようにしたら良いのでしょうか。
上手なしつけ方
犬との関係を崩さないしつけ方をご紹介します。
褒める
体罰や大きな声で怒鳴るなど、良くない怒り方をすると恐怖や不安が強く残ります。
それでは、信頼関係を築けるどころか崩れてしまいかねません。
犬はマイナスの要因よりもプラスの要因で行動します。
褒めてやれば嬉しく楽しい記憶が残り、「またやってみよう」という気持ちになります。
ご褒美を与える
ご褒美の代表格はおやつですが、それ以外にも犬が喜ぶものはいろいろあります。
飼い主さんとお気に入りのおもちゃで遊んだり、一緒に外で思い切り体を動かしたりすることも犬にとってはご褒美となります。
厳しいことと思わせない
しつけは犬にとって厳しいことではなく、「楽しく嬉しいことであり、飼い主さんの指示にもっと従いたい」と思わせることがポイントです。
飼い主さんもイライラと感情をぶつけるのではなく、前向きな気持ちでしつけに向き合いましょう。
良くないしつけ方
では逆に良くないしつけ方をご紹介します。
吠えるがままにしておく
犬が吠えるのにも理由があるため、そこは理解したいものです。
しかし、放置したり、犬の要求をそのまま聞き入れてしまうことは良くありません。
「吠えれば要求をきいてもらえる」と理解してしまうと、要求がエスカレートして問題行動を起こしかねません。
状況に応じておもちゃなどで気を引き、吠えることをやめさせましょう。
飛びついてくるのをそのままにする
飼い主さんを見つけて飛びついてくる犬をそのままにすることは危険です。
相手が子供やお年寄りだった場合、怪我をさせてしまう可能性があるからです。
それに飛びつきは『マウンティング』に近い表現でもあります。
▼犬をしつける方法についての記事はこちら
犬との信頼関係は回復できる?
大切な犬との信頼関係は、思わぬことで失ってしまう可能性もあります。
失ってしまった信頼関係を回復することは可能なのでしょうか。
信頼していないときの犬の態度
飼い主さんを味方と思えず、唸ったり、威嚇したり、噛みついたりと攻撃的な態度に出ることがあります。
呼んでも寄りつかず、目を合わせようとしません。
これらの行動が見られるということは、飼い主さんを信頼していない証拠です。
崩れてしまう原因
犬にとって飼い主さんから辛い態度をとられると、気持ちが急に離れることもあるでしょう。
もしくは、ひとつだけではなく様々な要因があったとも考えられます。
体罰
暴力は『恐怖心』を植え付けます。
例え一時的に大人しくなったとしても、根本は改善されません。
『怖い』と思われていては、信頼関係を築くことは難しいです。
甘やかしすぎない
『可愛がる』のと『甘やかす』のは似ているようで違います。
甘やかして飼い主さんが犬の思い通りになると思わせるのは、問題行動につながり信頼関係が崩れます。
信頼関係を回復させる方法
崩れてしまった関係を修復し、犬に信頼されるにはどうしたら良いのでしょうか。
スキンシップを積極的に
スキンシップは溝を埋めるのに大変効果的です。
触らせてくれるのであれば、犬が好きな場所を優しく撫でてあげて下さい。
好きなおやつやおもちゃできっかけをつくってみるのも良いでしょう。
犬の気持ちを理解する
犬は話せませんが、表情や仕草、行動で気持ちを表現します。
信頼関係を取り戻すには、お互いを理解し合うことは必要不可欠です。
愛犬を良く観察しながら接するようにしましょう。
一貫性のある態度で接する
その場に応じて、犬に対する態度や反応をころころ変えてしまうと犬は混乱します。
常に冷静に、「ダメなものはダメ」と態度を変えず、許すポイントには一貫性を持たせましょう。