猫は結石になりやすい?原因や症状、食べてはいけないものを紹介!
尿路結石の種類・治療方法
愛猫のトイレの回数が増えたり、鳴き声を上げるなど変わった様子が見られるときは、尿路結石の疑いがあります。
尿路結石は猫が発症しやすい病気と言われています。
ここでは結石の種類やそれぞれの治療方法について紹介していきます。
尿路結石とは
尿路結石は、尿路の中に結石ができる『猫下部尿路疾患』の代表的な病気です。
水分不足や肥満、栄養バランスの偏りなどの生活習慣も大きな起因となっています。
尿路とは下記のような部分を指します。
- 腎臓
- 尿管
- 膀胱
- 尿道
結石ができると猫の膀胱や尿道を傷つけたり、尿道に詰まったりして、症状が重くなることがあります。
特に、オスは尿道が細くカーブしているため、メスに比べて詰まりやすいと言われています。
尿路結石の種類
結石はできる場所によって、下記のような種類に分けられます。
- 腎結石
- 尿管結石
- 膀胱結石
- 尿道結石
腎結石
『腎結石』は、猫の腎臓の『腎盂(じんう)』内にできる結石です。
腎盂とは、腎臓の中にある袋状のものです。
症状が軽ければ、尿検査やレントゲン検査をしながら経過観察をして自然治癒を目指します。
稀なケースですが、石が大きく腎臓に悪影響を与えている場合には手術で取り除く必要があります。
尿管結石
『尿管結石』は、腎臓から膀胱へつながる尿管にできる結石です。
尿管に結石ができて詰まると、尿閉塞を起こして腎臓に大量の尿が溜まります。
溜まった尿によって急速に腎障害が起こり、治療が遅れると命の危険もあります。
尿閉塞は手術を行いますが成功率は低いと言われており、原因が不明で対症療法しかないため、猫の死因となることも多い病気です。
元気がない、食欲がないなど、わかりやすい症状が出ない場合、発見が遅れてしまうことも多いようです。
膀胱結石
結石のほとんどが膀胱の中で作られます。
これを『膀胱結石』といいます。
治療は結石の状態で異なり、手術や食事療法、投薬などの方法があります。
尿道結石
膀胱でできた石が尿道で詰まることを『尿道結石』といいます。
発見が遅れて尿毒症を起こすと命にかかわることもあります。
軽度の場合は内科療法で、閉塞はカテーテルで治療します。
結石が取れない場合や再発を繰り返す場合は、外尿道口を広げる手術を行います。
尿路結石の症状
結石だけではなく、どのような病気でも早期発見は重要です。
早期発見するためにも、日ごろから愛猫の様子に変わったところはないか確認するようにしましょう。
ここからは、猫が尿路結石になった際に見られる症状について紹介していきます。
尿路結石の症状
尿路結石は尿路の疾患なので、症状として排尿に異常が出ることが多くなります。
排尿時の異常
尿路結石になると、一般的に下記のような症状が見られます。
- 排尿の際に痛がる
- 尿に血やキラキラしたものが混じる
- 尿が濁って臭う
- トイレに行く回数が増える
- トイレから出てこない
- トイレ中に鳴きやまない
- トイレでうずくまる
- トイレ以外で排尿をする など
猫が排尿の際に鳴いているときは、痛みを感じているのかもしれません。
飼い主さんは、上記のようなトイレでの異常行動によって気づくことが多いでしょう。
結石の場所による症状
結石ができる場所によっても症状に違いがあります。
腎結石
腎結石はほとんど無症状です。
そのため、健康診断などで偶然発見されることが多いようです。
また、原因のわからない血尿など、尿の異常から見つかることもあります。
尿管結石
尿管結石の初期の症状として下記のようなことが挙げられます。
- 血尿
- 頻尿
- 排尿障害
- 嘔吐 など
進行すると『尿毒症』を起こし、下記のような重篤な症状となってしまいます。
- 発作
- 昏睡
- 心停止 など
膀胱結石
結石が原因で『膀胱炎』を起こしているときには、下記のような症状が出ることがあります。
- 何回も排尿する
- 排尿しようとしても尿が出ないか、出ても少量
- 血尿が出る など
トイレ以外の場所で排尿したり、外陰部を舐める回数が増えたら要注意です。
尿道結石
膀胱結石の症状が見られる他に、トイレでうずくまる、トイレで鳴いたりうめいたりなどの症状があります。
結石の原因は水分不足?
猫に多い代表的な結石の原因は、『ストルバイト』と『シュウ酸カルシウム』の2つです。
これらは下記の成分から構成されています。
- マグネシウム
- アンモニア
- リン酸
ストルバイトが原因の結石は若い猫に多く、シュウ酸カルシウムは中~高齢の猫に多くなります。
猫はあまり水を飲まない
ストルバイトを構成するミネラルが増えたり、尿がアルカリ性に傾いたりすると結石はできやすくなります。
これは猫があまり水を飲まないため、濃度の濃い尿が出るという習性に起因しています。
猫の体質や食事、生活習慣にも影響を受けます。
猫が水を飲まない理由
もともと猫の祖先は砂漠で暮らしていたため、それほど水を必要としない体に進化しました。
食事から水分を摂り、何日も水を飲んでいないかのように見えることさえあります。
猫自身も喉の渇きに鈍感です。
猫の水分補給は飼い主さんが積極的に行う必要があります。
水分補給で結石予防
猫に水分を摂らせることは猫の尿のpHバランスを整え、尿路結石のリスクを下げます。
特に腎臓結石が尿管に落ち、詰まって尿管結石になるリスクが下がります。
日本の水道水は軟水
日本のほとんどの水道水はミネラルの少ない軟水のため、ストルバイト結石の予防になると考えられます。
きちんと消毒されていて雑菌が繁殖しないのも理想的です。
消毒のための残留塩素は、猫の健康に害を及ぼす量ではありません。
▼猫の水分補給についての記事はこちら!
尿路結石のためのフード・おやつ
尿路結石を防ぐためには、猫の食事にも気を付ける必要があります。
ウェットフードがおすすめ
結石予防のキャットフードは、食事から自然に水分を摂れるウェットタイプがおすすめです。
ウェットタイプのフードは70〜80%ほどが水分のため、効率的に水分補給させることができます。
尿路結石用のキャットフード
「尿路結石ケア」や「療法食」と書かれているキャットフードなら、結石の予防や治療をしていくことができるでしょう。
必ず獣医さんに相談すること
獣医さんの診察を受けずにフードを買えるのは便利ですが、それによって問題が起きたこともあります。
ストルバイト結石と診断された猫に、獣医さんがストルバイト尿石溶解時用の療法食を出したところ、飼い主さんはその後も自分の判断で同じ食事を与え続けた例があります。
3年後に血尿が再発して診断を受けたところ、今度はシュウ酸カルシウムが原因の結石が見つかりました。
これはマグネシウムを制限したストルバイト尿石溶解時用の療法食が、シュウ酸カルシウム結石の形成を助長したのではないかと考えられています。
療法食を与えるときは、獣医さんの指示に従って与えた方が安心です。
猫の食事の選び方
猫の食事は栄養素が偏りがちな手作りを避け、獣医さんに相談した上で、アミノ酸やミネラルのバランスにも配慮された高品質のものを選ぶようにしましょう。
おやつには猫に不足しがちなタウリンやビタミンAを含むものや、カロリーが低くタンパク質の補給ができるものを与えるとよいでしょう。
猫が食べてはいけないもの
キャットフード以外でも尿路結石の原因となる成分が多く含まれている食材はあります。
ここでは猫に食べさせてはいけない食べ物と猫にあげていいものをまとめてみました。
食べさせてはいけないもの
猫に食べさせてはいけない食べ物や、注意して与えなければならない食べ物として、下記のようなものが挙げられます。
与えてはいけないもの
- ごぼう
- れんこん
- たけのこ
- ふきのとう
- 春菊
- ほうれん草
- 水菜 など
ごぼうやれんこんには、尿路結石の原因となるミネラルや肝臓、腎臓障害の原因となるタンニンが含まれています。
たけのこ、ふきのとう、春菊、ほうれん草には尿路結石の原因であるシュウ酸が含まれるため、与え方に注意が必要です。
また、水菜もカルシウムが多く、尿路結石の原因になる可能性があります。
尿路結石のリスクを高める食べ物以外にも、猫に食べさせてはいけない食べ物は多くあります。
猫に食べ物を与えるときはよく確認して与えるようにしましょう。
食べてもいいもの
下記のようなものは、与え方を気を付ければ食べさせても問題ない食べ物です。
与えていい野菜
生のまま与えてもいい野菜は下記のものなどです。
- きゅうり
- レタス
- キャベツ
- トマト など
また、加熱すれば食べられるのは下記のものなどです。
- アスパラガス
- なす
- かぼちゃ
- さつまいも など
与えていい果物
果物では、下記のものなどが食べられます
- いちご
- スイカ
- メロン など
基本的には少量にとどめることが肝心です。
与えていい乳製品
乳製品では、下記のものが摂取できます。
- ヨーグルト
- チーズ
- ヤギのミルク など
穀物
穀物は猫の食べ物としては必要ありませんが、タンパク質やビタミンの補給ができます。
肉・魚介類は加熱する
猫はもともと肉食なので、肉を与えるときは味付けされていないもので、加熱したものなら問題ないでしょう。
魚介類も火を通すことによって食べられるようになります。
人の食べ物は基本的に与えない
人の食べ物は、結石だけでなく様々な病気を引き起こす原因となります。
ここまで食べて良いとされているものなどを紹介しましたが、積極的に与えるのはやめましょう。
人の食べ物には、猫が食べてはいけない食べ物と一緒に料理されていて、猫にとっての危険な成分に気づけないことがあります。
また、食べていいものでも猫によってはアレルギーを起こしてしまうこともあります。
猫のご飯はキャットフードのみで良い
基本的に猫のご飯は『総合栄養食』と書かれたキャットフードのみで問題ありません。
美味しいからとご飯を少し分けてあげたくなる気持ちもあるかもしれませんが、それが猫にとって非常に危険ということは覚えておきましょう。