
猫の皮膚病とは?皮膚の異常の原因・症状・対策について紹介!
猫の皮膚病の原因
猫の皮膚病は、人間と同じくいろいろな症状があります。
その症状によって、原因もさまざまです。
アレルギー性の皮膚炎
人間と同じようにアレルギーにより皮膚炎が発症することがあります。
症状
皮膚の痒みが生じます。
猫が過剰に体を舐める様子がある場合は、注意深く見てあげましょう。
過剰に舐めすぎて、その部分だけ脱毛してしまうこともあります。
原因
アレルギー性皮膚炎の場合は、当然アレルギーが原因になります。
ただ、アレルゲンは下記のようなに多種多様です。
- 食べ物
- ハウスダスト
- ノミ
- 花粉
治療方法
アレルギー性皮膚炎を疑ったときは、まず動物病院に行って、原因となっているアレルゲンを特定しましょう。
アレルギーの原因となっているものを生活から除去することが必要になります。
同時に薬での治療も行っていきます。
カビによる皮膚炎
カビ(真菌)が原因で皮膚真菌症になることもあります。
カビが糸状であることから皮膚糸状菌症(ひふしじょうきんしょう)とも呼ばれます。
いわゆる猫カビのことです。
症状
発症した場合は、患部が円形に脱毛し、脱毛した箇所からフケの発生が見られるようになります。
また、放置すると脱毛部分が広がってしまいます。
気を付けたいのは、感染してる猫のすべてに症状が出るわけではないことです。
まだ免疫の弱い子猫や、加齢などの要因によって抵抗力が弱まっている猫が発症しやすい傾向にあります。
ほかの猫と接触した場合「あっちの猫に異常はなかったから、うちの子は感染していない」と考えるのは危険です。
原因
被毛や皮膚にカビが感染することで発症します。
基本的には動物と動物の接触によって感染します。
また、この病気の原因となるカビは主に土の中に存在しているため、外を散歩させているなど、猫を土に触れさせている人は注意が必要です。
治療方法
動物病院で感染が確認されると、抗真菌薬という薬が出ます。
これは飲み薬と塗り薬の2種類があり、飲み薬の方が高い効果が期待できます。
ほかにも重要なのが薬用シャンプーです。
これは、菌や抜け毛を落とし、患部が広がることを防止できるので、効果的です。
注意事項
この皮膚病は時間をかければ自然治癒する可能性もあります。
しかし、周囲の猫や人に感染を広げるリスクがあるほか、症状が悪化する可能性もあるため、なるべく軽傷のうちに治療しましょう。
この病気は人獣共通感染症なので、人にもうつる可能性があります。
猫が感染しているかもしれないと思ったら、すぐに病院に行って薬をもらいましょう。
ダニによる皮膚炎
同じく人獣共通感染症の病気に、皮膚疥癬(ひぜん)症があります。
症状
耳への感染をきっかけに、顔から頭部へと広がっていく病気です。
発症すると炎症が起こって皮膚が硬くなり、ふけや発疹が出ます。
抵抗力が弱い猫の場合は全身に感染することもあります。
皮膚がただれることはありませんが、強いかゆみを伴うため、猫の負担が大きい病気です。
原因
ネコショウセンコウヒゼンダニというダニの寄生が原因で発症します。
すでに感染している動物との接触によって感染する病気なので、ほかの動物と接触する際は気を付けてあげてください。
治療方法
ダニを駆除する薬を投薬することで治していきます。
複数の猫を飼っている場合は、症状が出ていない猫にも感染している可能性があるので、一緒に治療をする必要があるでしょう。
猫にかさぶたができている
猫にかさぶたがある場合、まず思いつく原因は外傷です。
しかし、そのほかにも、皮膚病の可能性があります。
かさぶたになる原因
たとえばアレルギー性皮膚炎で強いかゆみがあった場合、猫が自分で患部をかいてしまい、皮膚に傷ができてかさぶたになる、ということもありえます。
また、ニキビダニ症、疥癬、皮膚糸状菌症などの病気でもかさぶたが出る場合があるので、かさぶたを見つけたら、念のため動物病院に行った方がいいかもしれません。
こまめに掃除をする
対策としては、まず猫の寝床や部屋をこまめに掃除しましょう。
これは、アレルギー性皮膚炎の可能性を低くするためです。
ほかにも、さまざまな菌の発生を防止する効果があります。
空気清浄機の設置も効果的です。
猫のかさぶたは剥がしていい?
猫のかさぶたに気づいたとき、一番やってはいけないのが、すぐにはがす行為です。
かさぶたを無理にはがすと、皮膚が剥がれることになりますし、そうなれば新たな細菌感染のリスクにつながり、時間が経っても治らないということになるかもしれません。
外傷によるかさぶたの場合は放置して大丈夫ですし「皮膚の一部が黒い」という場合はメラニン色素沈着という可能性もあります。
まずは落ち着いて判断して、皮膚病が疑われる時は、動物病院に行って獣医の指示を仰ぎましょう。
猫の皮膚が赤い
猫の皮膚が赤い場合、まず考えられるのがアレルギー性皮膚炎です。
皮膚の赤みのほか、ピンクのできものができていたり、皮膚に脱毛が見られたりする場合、早急に動物病院に行ってアレルゲンを特定しましょう。
アレルギーの原因はさまざま
アレルギー性皮膚炎の原因となるアレルゲンは、猫の個体によってさまざまです。
ダニ・ハウスダストなど環境的な要因であれば、先述の通り、こまめな掃除や空気清浄機で対処できます。
食物アレルギーの場合は、アレルゲンとなる物質が入っていないフードに切り替える食事療法もあります。
皮膚が赤くなる皮膚病
猫の皮膚が赤くなる病気は、アレルギー以外にも下記のようなことが考えられます。
- アトピー性皮膚炎
- 膿皮症
- 脂漏症
- 白癬
- 疥癬
猫がストレスにより、身体の一部を舐め続けることで炎症を起こす、舐性皮膚炎という病気もあります。
猫の皮膚病の原因を自分で判断することは難しいため、皮膚病の疑いがある場合や不安な時は獣医に相談するといいでしょう。
猫の違和感に気づく
猫の皮膚炎を見つける際、重要なのが「猫がかゆがっているか」にどう気づくか、ということです。
猫は普段から毛づくろいをしていますから、かきすぎて血が出るまで気づかない可能性もあります。
そのため、猫のサインを見逃さないことが大事です。
たとえば、頭をしきりに振っているときは、耳の中がかゆいというサインです。
ほかにも、体の一部だけをしきりになめたり噛んだりしていたら、チェックしてみましょう。
猫のために、少しの違和感をしっかり受け止めて、こまめな健康チェックにつなげていくことが大事です。
人間の薬は使える?
猫の皮膚炎を見つけたけど、猫用の塗り薬がない、人間用のかゆみ止めしかない、という時もあるかもしれません。
猫に人間用の薬は使えない
早く手当したい気持ちはわかりますが、人間用の薬をそのまま猫に使うことはできません。
動物病院で使われている薬は、大半が人間用だと知っている人は意外に思うかもしれません。
しかしこの場合は、成分がダメ、ということではなく、人間用の市販薬を与えることが問題になります。
人間用の薬を使用してはいけない理由
人間用の市販薬は、当然ながら人が使うことを想定して用量が決められています。
猫は人とは体の大きさが違うため、人と同じ量の薬を与えると、体が処理しきれず、害が及んでしまうことがあるのです。
中毒を起こす
たとえばアセトアミノフェンは、人間用の風邪薬や頭痛薬としてなじみのある成分ですが、猫にこれを与えると中毒を起こしてしまいます。
また、重要な薬物代謝であるグルクロン酸抱合を猫は持っていません。
グルクロン酸抱合で代謝されるべき薬を猫に与えた場合、体が処理できず、やはり中毒が起きます。
猫は肝臓の機能が人とは少し違っています。
そのため、代謝できる成分も人とは違うのです。
猫に使えるのは猫用のみ!
獣医ではない普通の人が人間の薬をそのまま与えることは、猫にとっては危険です。
猫に使えるのは、猫用に処方・調整された薬だけだと思って、焦らず落ち着いて行動しましょう。